領収証をなくしても医療費控除は受けられる

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領収証をなくしても医療費控除は受けられる
個人の所得税の申告にあたって、総所得金額から所得控除を差し引いて課税所得金額を計算します。 この所得控除のうち、生命保険料控除、損害保険料控除と医療技控除については、領収証その 他その費用の支払いを立証する書類の添付提出について、比較的厳格に規制されています。

 生命保険料については、一口につき九千円以上の支払保険料のときは、領収書かその証明書を 必ず添付しなければならないことになっています。損害保険料については、すべて領収書か証明書 を添付しなければなりません。しかし実は、これは両面から考えなければならない問題です。 納税者の側からすれば、たしかに私はこういう保険料を払いましたよという点を明らかにする わけです。税務署側からすれば、なるほど、この人はたしかに払っている、それじゃ控除を認 めても差し支えはない、自分たち(税務職員〉が守るべき“法規” にもあっていると判断する資料 にするのです。

 もし、こういう添付すべき書類をつけていないのを見逃して、控除を認めて、 会計検査院の検査で見つかったりすると、税務署は大目玉を食うことになるからです。 あまり、一般的には知られていないが、税務署を納税者の多くの人たちは、恐くて嫌なとこ ろだと思うが、税務署にとっても恐くて嫌なところがあります。それが会計検査院です。

 医療費控除を受ける場合には、医療費を支払った先の領収書を添付することになっています。こ れも納税者側が、たしかにこれこれの医療費を払いましたよということを立証するための大事な 資料なのです。くどいようですが、この程の立証責任は納税者にあります。したがって領収書のよう な支払いを立証する害類がなければ、どうしょうもないのです。

 しかし、まったく目の見えないマッサージ師にかかったとき、領収書をいちいちもらえるでしょうか、 恐らくもらえないときのほうが多いでしょう。しかし、税務署はどんなことをしても領収 書をもらってこいというほど酷ではありません。税務事務に携わる税務職員だって人間です。 「マッサージ代を家計簿にでもつけていませんか、もし、つけていたらそれを見せてください」 といったところでおさまりがついて、だいたいは認めてもらえることになります。通院のためにタ クシーを使った場合でも、領収書をもらえないでしょう。普通だったら五、六百円の距離のとこ ろを、五、六千円かかったなんて書きだしたら認められない上に、他にもインチキがあるんじゃ ないかとやられるのがオチです。常識的な金額ならまず認められるはずなのです。

 医療費の領収書というと、大部分は病院や診療所の入院代や診療治療の費用、あるいは医薬品 代の領収書でしょう。この領収書をなくしてしまったときの対策は二つあります。

その一つは、再発行してもらうことです。もう一つは、支払い先を明確に記載し、いつ現金で 払ったか、あるいは小切手で払ったかまで詳しく書き、調べるのは税務署の仕事だと下駄を預け るのです。こうすれば、だいたいは認められます。