店舗併用住宅の改築費は、底舗部分と住宅部分をうまく按分する

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店舗併用住宅の改築費は、底舗部分と住宅部分をうまく按分する
 個人営業をしているとき、家事関連費といって店主個人の生計費と、営業に関する必要経費の区 分が注目される。資産の取得をするときも、やはりこういう点についてまちがいないようにしなけ ればならない。これは家屋の改築でも同じだ。

 富田吾郎(四十八歳)は、肉屋を経営している。店舗は住宅と一緒になっている。その家屋の総 床面積は一七0平方メートル(約五十二坪)で、二階建てである。一階が九0平方メートル(約二十七 坪)、二階が八0平方メートル(約二十四坪)で、一階全部が広舗、二階が住宅になっている。

 この家屋は吾郎の父親の代に建てたもので、建築してから二十八年を経過している。木造家屋 だから、とっくに法定の耐周年数を経過してしまっているのだが、幸いに良質の材料を使ってい るので、まだなおせば使えるということで、大改築をした。

 改築のためにかかった費用の総額は八百万円。このうち自己資金が五百万円、残額三百万円は 銀行から五年で返済することにして借金した。利子は年八・五パーセントである。改築は一階と 二階とを別々にやったわけではないので、住宅部分と店舗部分とはっきり分けられない。ただ し、明らかに店飾部分の改造にかかった費用というのは、冷蔵庫の土台の補強のための費用と店のたたきの張り替えの費用で、前者は十八万円、後者には四十万円がかかった。あとは、全部家 屋全体の改築にかかった費用で、これは家屋の建物としての価値を倍加させるばかりでなく、耐 周年数も伸長させることになった。

 この改築費は修繕費にならないのか、また、修繕費にならないとすると、いったいどういうこ とになるのか。銀行からの借入金の利子は必要経費にならないのか、店主吾郎はいろいろと思い をめぐらしてみた。  

 実は、これは修伸縮自にならない。この種の費用は資本的支出といって、家屋という資産の価値 をふやす原因となる支出である。ところが、この場合は住宅部分も一緒に支出しているので、店 舗用の部分と分けなければならない。明確に店舗用となる部分は、さきの二種類の合計五十八 万円(十八万円プラ久四十万円)である。これを改築費総額八百万円から差し引き、明細がわからない ときは、残りを面積で按分するよりほかに方法はない。

(800万円-58万円)×90㎡/170㎡=392万8,235円


 したがって、店飾部分の改築費はこうなる。この金額と五十八万円とを加えた四百五十万八千 二百三十五円が改築資の合計額で、これを造作勘定にでも計上しておけばよい。なお、これにつ いては減価償却費の計算ができる。

 したがって住宅部分の改築費は三百四十九万千七百六十五円になり、庖の資金を一緒に支出し ていれば、家事関連費として事業主に対する貸方勘定となり、必要経費にならないのである。 銀行への支払い利息は、住宅部分と庖舗部分と別々に払うわけではないから、この改築費の割 合で按分し、住宅部分に対応する金額はこれまた家事関連費となる。