妻のへソクリの利子の所得は二十九万円まで無税

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妻のへソクリの利子の所得は二十九万円まで無税
サラリーマンの家庭では、主人である夫が月給袋を持ってきます。その中身は夫婦の共有財産とも考えられるため、夫婦でどう使おうがそこまで税務署は干渉しません。しかし、妻がそのうちからヘソクリを貯め込んだ場合はどうでしょう。

 贈与税の立場から厳格にいえば、へソクリも夫からの贈与です。年聞に六十万円までなら、贈与税がかかりません。そのため、六十万円以下であるということを立証できるようにしておかなければならないのです。預金通帳に記載されていればもっとも確実な証拠になります。

 あるとんまな奥さんがいました。毎月、亭主の月給からいくらかへソクリをして、それを箪笥預金していました。十年たって三百万円ぐらいになったので、それをまとめて預金したら、その段階で贈与税 をかけられたというのです。結局、三分の一ぐらいを税金でとられてしまいました。

 渡辺範子(三十六歳)の隣家で急にお金が必要になりました。都合悪く、手もとにお金がないというので、 日ごろの近所づきあいからお金を貸さなければならないハメになってしまいました。毎月へソクリをして いたお金のうちから、範子は三百万円を用立ててあげました。

 さて三月後に、「あの節は大変助かりました」といって十万円を包んで返しにきました。もちろん懸命にことわったのですが置いていってしまいました。

 範子はこれに味をしめて、近所の奥さん連中に金貸しまがいのことを始めました。もちろん所得税 の申告はしていません。税務署からは何もいってこないし、彼女の税知識の不足から、これが違反 になるなどとは夢にも考えず、人助けくらいに思っていたのです。 さてこの場合、税法の立場ではどうなるでしょう?この所得をめぐる税務の問題は、大きく二つに わかれます。

 その一つは、サラリーマンの妻として会社で配偶者控除の対象となっているのに、利子による稼ぎがある程度ある、したがって配偶者控除を受けられないことになります。配偶者控除失格となれ ば、亭主は配偶者控除なしとして、翌年、所得税の確定申告をして所得税を追加して納めなけれ ばなりません。つまり勤労によらない所得で、十万円以上の所得があると、配偶者控除の対象にな らないことになっているのです。ちなみにバイトなどの給与収入であれば七十万円までならかまいません。給与所得控除額を五十万円差し引くと、二十万円になり、二十万円までの給与所得の金額であれば配偶者控除を受ける資格があるからです。

 もう一つは、へソクリを貸した利子の収入が十万円以上もあり、配偶者控除を失格してしまっ たとき、その妻自身の税金の問題はどうなるかということです。利子の収入には必要経費がか かりません。とくにへソクリだとそういうことになります。したがって、まるまる所得になるのです。ところがその金額が二十九万円までであれば、税金がかからないのです。というのは誰にでも適用される基礎控除の額が二十九万円だからなのです。