泥棒にはいられると、なんと税金が助かる

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泥棒にはいられると、なんと税金が助かる
災難は忘れたころにやってきます。そこで、所得税法では災害を受けたときには、ある程度、税金 を少なくすることによって被筈をいくらかでも軽減させる雑損控除という制度を設けています。

 雑損控除というのは、不慮の災難とか災害を受けたときに、総所得金額からこれを差し引い て、所得税をいくらかでも少なくしようということで設けられています。 しかし、災難といってもいろいろあります。泥棒にはいられたり、金銭や財産を横領されたりした 場合は雑損控除の対象になります。しかし、詐欺にあって金銭をとられたのは、だまされるほうも悪 いので、この対象にはなりません。

 災害といっても範囲は広く、天災、人災と大きくわけられます。水田をつくり、米を収穫してい る農業所得者が、収穫も間近くなってから、いなごの大群が発生して、水田が全滅してしまった ら、大きな損害をこうむったことになります。

 いずれにしても災難や災害による損害額が金銭で評価され、具体的に立証されなければ、 控除の対象となる損失額とはなりません。

 たとえば作家が、電車の中で書きかけの原稿を二百枚置引きされたというのは、たしかにそこ で損害が発生していますが、書きかけの原稿ではまだ損害額を具体的に金銭で評価するわけにいきません。 財産的価値が客観的には評価できないため、こういうときは雑損控除の対象とはなかなかならなりません。ただ、そのために経費が余計にかかるということはいえるでしょう。

 泥棒にはいられて現金三十万円、二百五十万円預けてある預金通帳と宝石類三百万円を盗られたとします。被害金額の合計は五百八十万円になります。預金通帳については、すぐに銀行に手配 し、泥棒が払い戻しをすることだけはのがれられた。

 預金が助かれば、実質的な損害額は三百三十万円になります。個人事業主でこの年の総所得金額が 四百万円であり、損害について保険によって補てんされた金額はなにもないものとすると、雑損 控除額は次のように計算されます。

 (損失額330万円-保険等で補てんされた金額0円)―総所得金額400万円×雑損控除額1/10=290万円

 雑損控除額を総所得金額から差し引き、その他の所得控除額も差し引いて、課税所得金額を計 算するから、雑損控除を適用することによって所得税は相当少なくなります。

 この適用を受けるとき忘れてならないことは、警察へ被害を届けた被害屈の明細の写しを税務 署に提出することです。老婆心ながら、所得が余りないのに、高価な宝石類がたくさんあった ら、税務署はなんと思うでしょうか。