貸家やアパートを新築したときは税金が安くなる

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貸家やアパートを新築したときは税金が安くなる
日本の住宅事情の貧困は、敗戦直後の政府の一大失敗である。政府はいろいろな手段を講じて住 宅事情の好転に努めています。それを側面から助成するために、税制の上でも特典があります。

 国税である法人税や所得税の面でも、貸家などを新築したときには、減価償却を割増ししてで きます。また、自分の住宅を建築したり、取得したりしたときには、個人にかぎり住宅取得控除と して、所得税の税額控除ができる措置を設けています。地方税では不動産取得税や固定資産税につ いて、軽減する措置もとられています。これらのうち、貸家やアパートを新築して、貸家などに使

 いだしたときに適用できる新築貸家などの割増し償却制度は、もっとも減税の効果があります。 これは個人や会社が、貸家用の家屋をつくったときには、貸家の用に使いだした日から五年 間、通常の減価償却費を割増しして償却できるという制度です。個人の場合には五年間、その 割増しして償却した金額が必要経費になるし、会社等法人の場合はそれが損金になります。通常の減 価償却政以外に余計に経費を計上できると考えればよいのです。

 これから貸家やアパートを建てようとする人、また、最近建てた人のために、個人の所得税に はどういう減税効果があるかを、解説しておきましょう。

 渡辺健士(五十六歳)は、たまたま自分の土地を持っていたので、会社を定年退職して退職金を 元金にしてアパートを建てることにしました。思い切って。フロック造りで、しっかりしたものを建て ることにし、その建築資金を全部で三千五百万円用意しました。二千万円は銀行からの借金です。

 昭和五十四年七月に完成し、直ちに貸したとすると、昭和五十四年分の減価償却費は次のよう になります。
(一)耐周年数、四十五年
(ニ)定額法で償却するときの償却率、0・0ニ三パーセント
(三)昭和五十四年分の割増し償却を含めた償却費の計算


 通常の減価償却授の百分の二百五十、つまり二倍半の償却費を計上できるのです。これは耐 用年数が四十五年以上の建物の場合であって、四十五年未満なら百分の二百、つまり二倍にな ります。なお、この場合は、七月からであるから十二月までの六ヵ月しか償却できないことになります。 昭和五十四年の税制改正で昭和五十六年三月三十一日までに新築したもので、建てた地域に限 定されることになりました。

 なお、五年間であるから、渡辺さんの場合は昭和五十九年六月まで割増し償却ができます。ただ し、ことしの分を忘れて、それを翌年にまわすことはできません。