少額配当は申告をしなくてもよい

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少額配当は申告をしなくてもよい
ちょっと小金を持つと、株などを持ってみたくなります。株を持つ人にもいろいろのタイプがあって、 値上がりしたときに売ってもうけようとしたり、配当を楽しんだり、なかには会社を乗っ取ってやろ うというすごい人もいます。しかし、巨額の資金がなければ、これはとうていできるものじゃありません。

 株式の配当をめぐる税務を個人の立場から整理すると、次のようになります。

(一)株式の配当収入は、配当所得になり、原則として確定申告しなければならない。
(ニ)配当金の支払いを受ける段階で、二Oパーセントの所得税を源泉徴収される。
(三)所得税の確定申告をするときに、配当金があれば、配当控除の適用が受けられる。これは税額控除で、控除割合は一Oパーセントまたは五パーセントである。
(四)少額配当は、確定申告の必要がない。一銘柄の株式について、年十万円以下の配当だ。
(五)一定の条件が整っていれば、配当金につき総合課税の確定申告によらないで、配当所得の源泉分離課税を選択できる。一定の条件とは次のようなものだ。

 ①その会社の発行済株式総数の五パーセント未満の株式しか保有していないこと。
 ② 一銘柄の株式につき年五十万円〈六ヵ月決算のときは二十五万円〉未満の配当所得しかないこと。なお、源泉分離課税を選択したときは、配当控除の適用を受けられない。

 最後の配当所得については、源泉分離課税を選択する人は、比較的に大口の資産家か、他の所得の多い人に多い、これは配当金の収入金額につき三五パーセントの所得税を払ってしまえば、他の所得と合算する必要がないことによるからです。課税所得金額六十万円以下の金綴に対し ては一Oパーセントの税率から始まり、八千万円を超える金額に対しては七五パーセントまで、 段階式に税率は高くなってきます。八百万円を超え千万円以下の金額の部分は、三八パーセントだ から、このあたりの所得金額の人は、どっちを選んだら得かをじっくり計算する必要があります。

 もっとも一般にかかわりがあるのは、十万円以下の少額配当につき、総合課税による確定申告 を必要としない制度です。この制度も前の分離課税の制度とともに、昭和五十五年十二月三十 一日までに受けるべき配当所得について適用されるもので、いわゆる時限立法です。

 さて、この少額配当は確定申告を必要としないという制度は、大いに利用価値があります。

 高野弘(五十六歳)は一年間に次のような配当がありました。

 A銘柄( 一万六千株) 配当金年九万六千円
 B銘柄(二万株〉配当金年十万円
 C銘柄(一万二千株〉配当金年五万四千円
 D銘柄(一万八千株〉配当金年七万二千円
 E銘柄(二万六千株〉配当金年十五万六千円

 この場合、E銘柄の配当金についてだけは確定申告しなければなりません。他の四種類の銘柄の 株式の配当金の合計額は三十二万二千円だが、確定申告のとき、合算しなくてもよいのです。