香典はいくらもらっても相続税はかからない

昭和の節税対策  > 頭のいい節税対策  > 香典はいくらもらっても相続税はかからない

香典はいくらもらっても相続税はかからない
香典とは亡くなった人を弔うために、知人その他の関係者が、故人の霊前に現金、供物をお供え して弔意を表するものです。これは日本に苦から伝わる風習です。税金につながる「場」を考 えると、相続税につながるか、相続人の所得税につながるかのどちらかです。

 亡くなった人を弔うために、何百人もの人が次から次へと弔意を表するためにやってくる、ち ょっとしたつき合いがあると、一万円を香典に包むのが一般的な金額です。とくに闘係の深いところだと五万円とか十万円を包んできます。そうして香典が三百万円集まったとします。この三百万円が税務上、どう位置づけられるのでしょう。

 相続税を計算する第一段階は、正味の相続財産がいくらであるかを計算するところにあり、こ れを算式で示すと次のようになります。

(被相続人<死んだ人>が残したすべての財産)-(債務・葬式費用)=相続税の課税価格(正味財産額)

 被相続人の残した財産が多ければ多いほど、正味財産額が大きくなり、相続税額も多くなります。 この被相続人が残した財産のうちに、もらった香典がはいれば財産額は大きくなるのですが、これは死んだ人が残した財産ではないから関係ありません。つまり、相続財産にはならないのです。

 もらった香典で葬式費用をあげる人もいますが、葬式費用とは故人の運搬から納骨までの費用で す。この費用が大きければ、当然、正味財産額は少なくなります。香典は通夜とか葬式のときにい ただくのが通例のため、葬式費用から差し引くべきではないかと考える人があるかも知れません。 ですが、これは心配ご無用、差し引く必要はないのです。

 ただ、もらう香典について故人の生前の社会的地位などを勘案して、常識的な額の呑典なら、このように取扱ってよいと国税庁がわざわざ通達しているのですが、具体的な基準はなにも示されていません。何会社の社長ならいくらまでいいとか、元総理大臣ならいくらまでといった基準がなにも ないのです。問題は「常識的な額」にありますが、相続税の税務調査に関連して、もらった香典が多す ぎるといって課税の問題が起きたということは、いまだ聞いたことはありません。もちろん、香典には遺族を慰める気持ちも込められているから、所得税の課税問題も起こるはずがないのです。

 香典をだす側ではどうでしょう。会社として香典を五万円包んでいったとします。これは交際費になります。ただ、領収書をくれとはいえません。したがって領収書なしの経費になります。個人で事業をやっているときでもこれは同じです。

 香典返しという慣習がある。葬式に関連した出費だから、葬式技用になるのかという問題もありますが、もらった香典が相続財産にならないのと同様、やはり、葬式費用には算入できません。