宝くじは無税なのになぜ競馬では課税されるのか

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宝くじは無税なのになぜ競馬では課税されるのか
現行の裁判制度は、すべて証拠主義によっています。犯人の自白だけでは証拠になりません。競馬で 金をもうけたという口実で、大きな金が預金されていたりすることがよくあります。というのは競馬でもう けたといえば、証拠がなくとも、税務署は仕方がないだろうと思うからなのです。

 競馬、競輪、競艇など、いわゆる公営バクチは、不景気になるとますます繁盛します。しかし、 やる人の大半は損をするので、もうけられる人は実に運がいいのです。

 だから、税務者からみてどこからどうしてはいったのかわからないような金が預金され ているとき、それを追及された本人は、よく競馬でもうけましたと逃げを打ちます。しかし、一時所得であれば、課税するのが建て前、徹底的に調べられるはずです。

 ここで考えておかなければならないことは、たしかにこういうことでもうけましたという立証 の責任が誰にあるかということです。これは納税者にあります。納税者が自らそれを立証できなけ れば、税務署にどのように解釈されようが、反論の余地がないのです。また、税務調査では黙秘権が認められていないことも知っておかなければなりません。質問に答えない場合には、質問不応答の罪があり、検査に応じなければ検査拒否の罪となります。どちらも一年以下の懲役、または二十万円以下の罰金という処罰規定があります。

 しかし、一方、競馬で二百万円もうけ、これをそのままなにかにパッと使ってしまったという ようなときには、もうけた証拠がありません。税務署も知りません。つまり、払い戻しの窓口へ当たり馬券を差し出し、支払い証明ももらわずに現ナマをつかんでくるだけだから、税務署としては実態のつかみようがないのです。大穴を当てて一千万円もうけたとか、有名人がダービーで五百万円 もうけたなどというニュースがよく流れますが、こういうのはガッチリ課税してきます。

 だから、競馬などでもうけたら、あまり吹聴しないほうがよい。配当金をひそかに銀行に預金 して、その証拠となる資金がそのまま銀行に残っていた場合にだけパレるのだ。それもその人の 事業あるいは財産に関連して、税務署が調査をしたときに初めて発覚する。

 発覚したときに、これは競馬でもうけたのだということが立証されれば、これは一時所得の収 入金額になる。そうするとクイズの賞金と同様な課税方式がとられ、一時所得として総合課税の 適用を受けることになる。

 五十万円の特別控徐を差し引いて、残りの二分の一が一時所得の金額になるから、給与として 年二百万円もらったときと比較すると、次のようになる。 競馬でもうけたとき

(200万円-50万円)×1/2=75万円

2 給与としてもらったとき

(1)給与所得控除額

 60万円+(200万円-150万円)×3/10=75万円

(2)給与所得の金額

 200万円-75万円=125万円

 総所得金額にはいる金額は、競馬のもうけによる一時所得の金額(七十五万円〉 所得の金額(百二十五万円〉よりも、五十万円も少ないことになる。

 つけ加えれば、一時所得ではその所得を得るために要した費用は、控除されることになってい る。すると、十万円の当たり馬券をとるために、八万円のはずれ馬券は、必要経費とも考えられ る。だが、そうはいかない。費用となるのは同一レlスの馬券だけなのである。

 しかし、宝くじの当選券が無税で、競馬の当たり券が課税されるというのも、実際は不合理で ある。また、一時所得にすべて課税するのが建て前なら、競馬場の支払い窓口でも、支払い証明 書でも発行して、税務署への提出を義務づけるべきである。が、そうすると、競馬場へ行って一 狼千金の夢を追うことも、やがてはやめたくなろうというものだ。

 一方で、ファンの射幸心をあおり、国や自治体の財源をうるおしながら、一方では、ギャンブ ルによるファンの所得に課税することを原則としている。税制度の大いなる矛盾である。