息子の土地を駐車場として会社が借りる場合は、不動産所得のほうが得

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息子の土地を駐車場として会社が借りる場合は、不動産所得のほうが得
土地の所有権は、登記上の権利者のものである。息子の名義にしであれば所有権は息子にある。 贈与のことはさておいて、所有権のあるものが貸して得た収入は、その所有権者のものになる。

 常盤商会の社長常盤太郎(五十九歳〉は、かねてから持っていた土地三00平方メートル(約九十 一坪)を、十五年前から一人息子好太郎(三十二歳〉に、その持分を少しずつ贈与し、とうとう全部 を息子の名義にし、実質的な所有権は好太郎のものになった。別に急いで使わなくてもよい土地 なので、更地のままにしておいた。好太郎は父親の会社をいずれは継がなければならないのだ が、いまのところは五葉商事という一流商事会社の一社員として働いている。

 常盤商会は、結構忙しく機械部品の販売をやっている。最近、社用の自動車の置場に困ってき た。そこで、自をつけたのが好太郎の所有になった土地である。この土地一を常盤商会が一括して 借り上げ、全部を駐車場として使おうということになった。ご一00平方メートルとなると、楽に 十五台の自動車を置けるが、会社で使うのはせいぜい五台分であるから、残りは他に貸してもよ いと計算し、全部借り上げた。常盤商会と好太郎との聞に賃貸借契約を結び、権利金は払わない で地代年額百万円とした。付近の時価を基準にすると、更地の時価が千三百万円ちょっとになるので、その八パーセントを年聞の地代としたわけである。これは税務上の取扱いでも妥当なもの とされている。  

 この地代収入は全部好太郎の収入となる。この収入は、所得の種類としてはなにに入るか、駐 車場として貸しているときは、不動産所得か事業所得かのどちらかになる。

 駐車の仕切りの線を引き、自動車の持主の責任で、借りたところに置くだけなら、その地代は 不動産所得である。好太郎と会社との貸借の状況は、ただたんに更地の土地の賃貸借だから、も ちろん好太郎にとっては不動産所得になるだけである。彼は五葉商事から年間四百五十万円ぐら いの給与などの収入があるので、それに不動産所得の金額とを合わせて、確定申告をして所得税 を納めればよい。その場合、年百万円をまるまる所得として申告する必要はない。もちろんこれ から必要経費を差し引ける。正確に計算すれば、固定資産税と都市計画税しかかからない。そし て国税局によって差があるが、収入金額の二割ぐらいは必要経費でみてくれるようである。

 もし、好太郎がこの駐車場に管理人を置いたり、あるいは屋根を作ったりして、好太郎個人の 責任において自動車を預かる駐車場を経営することにした場合はどうだろう。

 露天でも東京都内で便利なところなら、一台につき月三万円以上の駐車料をとれるだろう。三 万円なら十五台分として年閣の収入は五百四十万円になる。これは事業所得の収入金額になる。こ れから必要経費を差し引いて事業所得の金額を計算し、やはり総合課税の適用を受けるのである。